題材8 学年メッセージ・アート

共同で行なう創造活動-1学年メッセージ・アートへの取り組み-
                              
 美術科では、新しい学力観による指導の工夫として、生徒の興味、関心、意欲を育て表したい、つくりたいという願いが生かされる題材の開発と設定が急務である。
 題材の開発や設定で重要なことは生徒のよさや可能性を信じ、美術表現のよさを十分発揮した学習活動の展開を可能にすることである。つまり、美術表現の本質をわきまえて、学校の実情や生徒の実態に即して題材の内容を工夫し、体験的な活動を組み入れたり発想や構想の過程を充実させ、表現力の向上を図ることである。
 本題材では、指導計画の作成と内容の取り扱いにおけるニューワードである「共同で行う創造活動」の開発の試みとして、個人の表現にはないグループ、学級、学年での共同制作の造形活動あり方を追究した。
 本題材を設定した直接のきっかけは、生徒の版画嫌いの実態であった。版画を取り止めて、生徒の希望のモダンテクニックを取り入れ、その体験的な造形活動を単発のものとせず、いじめ解消や思いやりを訴える学年スローガンのメッセージアートに結実していく共同制作の過程を設定していった。その過程で一人で行うことと違った表現の喜び、大きな感動体験を培うことをめざした。

1はじめに
 1学年は2学期の郡写生大会の取り組みのあと、テラコッタ粘土で鳩笛やオカリナなどの土の笛に取り組んできた。次に予定されていた木版画題材に入る前に、生徒の思いや願いに関わって版画について興味や関心について調査してみた。その結果、大半の生徒は木版画のよさを体験できず失敗体験が多く、嫌いであるというはっきりとした実態がみえてきた。生徒の木版画への思いは次のようなものであった。

 ・下手な人はおもいっきり下手になる。手が器用じゃないとうまく彫れない。失敗する と取り返しがつかなくなる。絵のようにうまくいかない。失敗したら変になる。失敗すると直せない。一回まちがえるとなおせない。彫るのを失敗するとめんどうだ。彫るの が難しくて手間がかかる。人の顔を彫るときうまく表せない。
 ・細かいところを彫るのがめんどう。彫るのがたいへん。彫っているとだんだん変になるのが目に見える。絵をかくのも彫るのもみんなイヤ。削っているうちに変になる。さいごの方で彫るのがいやになってくる。時間と手間がかかる。出来上がりがどうなるか あまりよくわからない。・下書きを木にうつすのが大変。下書きがうまくいかなくて苦 労する。・手が黒くなるのでいやである。インクで手や体操着が汚れる。ゴミが沢山出る。ケガの可能性がある。

 学年43人の中に、「彫る時失敗したこと。でも全体的に言って楽しくて好き。」というポジティブなのが一人だけで、あとはみなネガティブなものだった。中には、「人しかやらしてもらえなかった。」という主題の決定に関わるものもあり、生徒の思いに少し配慮できれば解消されるものも沢山見受けられた。大半は版画特有の課題につまずいている実態の証言であり、重く受けとめていく必要を感じた。
 このような実態を受け、思い切って題材を変更をしてみようと、生徒の希望を調査したところ、美術の資料集にある「いろいろな表現技法-モダンテクニック」やつくったもので遊ぶことのできる「造形的パズル」に希望が集まった。
 折しも、筆者にNHK総合テレビの番組「人間マップ」への出演の話があり、番組の中で生徒との授業の様子も一部紹介したいということになった。突発的なテレビ取材の話を生徒に話しても半信半疑の様子だった。しかし、全国に放映されるという意義を考え、生徒の生き生きとした表現活動の姿を見せるべく、「造形遊びで楽しもう」というキャッチフレーズで学習を開始し、その生徒の活動を見ながら後の展開を工夫していくことにした。

2 第1段階
 ⑴題材 「造形遊びで楽しもう」
 ⑵目標 「モダンテクニックの体験的活動を通し、造形の楽しさを深く味わい、意欲や     感性を培う。」
 ⑶題材設定の理由
  生徒の実態を考慮し、美術活動を活性化を図るため、領域概念から逸脱をも射程に入 れて、やることも必要である。
 モダンテクニックは偶然性の多いマーブリング、吹き流し、にじみ絵、ドリッピング デカルコマニー、スクラッチ、フインガーペインテイングなどと意図的な工夫や技術性 が要求されるフロッタージュ、スパッタリング、スタンピング、コラージュ、フォトモ ンタージュなどである。
 活動開始に当たり、これらの技法についての簡単な示範をし、生徒の感性を直接ぶっつけさせて取り組んでいくことにする。
 ⑷ 課題構成(4時間)
課題1 偶然性への挑戦
   (モダンテクニック)(1、2時)
  ⑴ にじみの楽しみ
  ⑵ 絵の具を飛ばす
  ⑶ 指のいたずら
  ⑷ デカルコマニーはすぐできる
  ⑸ スタンピングはペタンと
  ⑹ ひっかきでかく
  ⑺ 吹き流しで流す
  ⑻ マーブリングはぐるぐる
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課題2 みんなでつくる大きな作品(抽象的ペインテイング、共同作品)(3、4時)
  ・課題1の学習を生かし10mのロール画用紙の大作をつくる。
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 ⑸考察
 課題1は3学期に入っての第1時間目に、まず4ツ切り用紙を思う存分に使って、体験
させた。個人でも2~3人のグループでもよしとした。多い生徒で一人4枚の例もあり1時間で画用紙や奉書紙合わせて50枚を越えるモダンテクニック作品が生み出された。モダンテクニックの自由自在な表現方法に少し慣れたのを見て、続く2時間目に番組の収録を行なう運びとなった。
 収録の時間では、全紙の画用紙を用意した。単独の造形体験それ自体の規模で、それまでの造形体験の枠組を越えるように配慮したわけである。
 続いて、それらの体験を生かして全員で10mの大作に挑むことにした。色の濁りに注意 を払わせたのみで、モダンテクニックの造形活動である。生徒は夢中になって取り組んだが、1時間が終わってもまだスペースが沢山残った。続く、2時間目も取り組んで思い思いに画面を埋めていった。出来上がった作品を眺めてみて、なんとなく物足りなさが残った。それは、モダンテクニックの体験を生徒なりに十分に消化していないことが原因のように思われた。そこで、たまたま数個描いてあったハート形という自分たちで意味の分かる形をそれぞれが思う存分に描き加えようということになった。不定型の流れるような画面、ドローイングやにじみの画面をベースに彩りも多彩に大小様々のハート形が埋め尽くされた。さすがに、生徒の素直な気持ちが表された画面になったわけである。そして、その大画面に学年全員で決めたスローガンを書くことに次の展開を煮詰めていった。
 この段階までの生徒の反応は次の通りである。全員が楽しかったと答えてくれている。
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・自由にいろいろなものがかけたのでよかった。
・おもしろかったし、楽しくできた。
・たのしくできた、いろいろな模様ができた。
・最初はどうやっていいのか分からなかったけれど、大きい紙にかくときはうまく色がぬれたと思う。楽しかった。
・いろいろな筆の使い方があるということが分かったのでよい経験になった。楽しかっ た。
・遊びかんかくでいろいろなことができたのでよかった。もっとめちゃくちゃにやってみ たかった。
・とても楽しくできてよかった。面白くってもっとやりたいな、と思った。
・自分のやりたいようにできたと思う。大ざっぱすぎたかも知れない。絵の具が服とかに ついてしまった。でも、楽しかったのでやれてうれしい。
・はじめてやってみたけど、とても楽しかったので、またみんなでこういうことをしてみ たいと思った。
・楽しかったです。これは、けっこうまじめにできたと私は思います。
・はじめははずかしかったけど、取り組んでいるうちにおもしろいもようができたりして とてもおもしろかった。指のもようもおもしろかった。

3 第2段階

 ⑴ 題材 「学年のスローガンを決めよう」
 ⑵ 目標 「2年進級への決意やいじめのない思いやりあふれた学年づくりのために、      全員の気持ちを表すスローガンをつくりだす。」
 ⑶ 題材設定の理由
  11月の春日中の事件の後、当校でもいじめ総点検の取り組みがなされた。1学年は全 員で「いじめをなくす」ことの対策を考えて、学年公開討論集会を2学期末PTAの折りに開催した。このような学年の取り組みの実績を美術学習に生かし、「いじめをなく す」ことも含めて学年全員の気持ちを表すスローガンをつくりだし、今後の学年の雰囲 気とモラールを高めていく一助とさせようと考えた。そしてそれを大看板のメッセージ アートとして共同制作し、体育館に掲示しようと考えた。

 ⑷課題構成(4時間)
  課題「イジメを解消問題も含めて学年のスローガンを決めよう。」
 主旨説明のあと考え出された、第一次案は次のようなものであった。(1時)

1 夢に向かってがんばろう
2 命大事に みながんばれ
3 命大事に いじめをなくそう
4 みんな FIGHTだア!
5 みんなの力でいじめをなくせ!
6 みんなでなくそうイジメ問題
7 大空へとびたとう
8 明るい学級に!
9 心を一つにしてとびだそう
10 未来を信じて
11 明日に向かってはばたこう  
12 いじめ(部活)をなくそう
13 人生は上々だ
14 協力し合える学級
15 月日がたっても友達でいよう。
16 体は小さくても心の大きな人に
17 あきらめず最後まで
18 視野を広げよう
19 苦しいときこそ助け合おう
20 頑張ろう
21 人生、娯楽を大切に
22 栄光の学年 
23 BigプッチンプリンのようにBig
24 みんな 助け合おう
25 協力しよう
26 人生のスタートライン
27 マンキでいこう
28 未来へはばたけ29 みんな がんばれ
 これら一人一人の案を生徒の代表が読み上げ、支持できる案にに挙手するという方式で合意を探っていった。しかし、なかなか沢山の支持を集めるものがなく、生徒の意向は分散するばかりであった。そこで、何か提案がないかということででてきたのが流行しているウルフルズの歌「ガッツだぜ」のことばを生かしてみようということであった。みんなで改めて考えてみたのが次の案である。

第二次案(2時)
・ 未来のためにガッツだぜ。
・ ・ガッツだぜ。みんなで力をあわせれば。
・ ど根性でガッツだぜ。
・ ・なんでもガッツだぜ。
・ いつもガッツだぜ。
・ ・みんな ガッツだぜ。
・ 夢に向かってガッツだぜ。
・ ・みんな くじけるな。
・ 未来に向かってガッツだぜ。
・ ありのままに がんばろう
・ 僕らの合い言葉「ガッツだぜ!」
・ ・ど根性だよ ガッツだぜ
・ いつも笑顔でガッツだぜ。
・ ・にらめっこをしない。
・ ガッツで行こうぜ!どこまでも。
・ ・いつも笑って前向きに
・ これからの人生、ガッツだぜ。
・ ・ガッツだぜ(スタートライン)
・ ガッツだぜ。みんなでめざすいい学年。
・ ・苦しい時こそ、ガッツだぜ。

 同じように紹介し支持を求めたが、圧倒的な支持は見れなかった。もう一度、一次、二次案のよさを別のことばで端的に表そうということで三次案を考えさせてみた。主な案は次の通りである。
・明るく、楽しい学校めざして。
・素直で明るい学年に。
・いつも明るく前向きに。
・楽しく話そうだれとでも。
・未来に向かってはばたこう。
・夢に向かってはばたこう。
・負けられねぇ、いじめられっ子、強くなれ
・大事なのはなかみだ!
・卒業への道のりは、信頼×協力

 これらについて支持を求めてみると、「信頼」と「協力」ということばが使われていたI君の案に集中した。「信頼」と「協力」という二つのことばがみんなの考えを表すのにふさわしいものとして圧倒的に支持されたのである。

 次の時間は「信頼」と「協力」を使って全員で考えた。主なものは次の通りである。
・ 信頼と協力をもった栄光の学年に。
・ ・何でも協力し、信頼できる学校に向かって
・大事なのは信頼と協力。  
・ なにごとにも信頼と協力。
・ ・協力し合い信頼できる学校に!
・ どんなことにも信頼と協力をしていこう。
・ ・信頼と協力を忘れずに
・ 未来に向かって信頼と協力。
・ ・信頼と協力の輪を広げよう。
・ 信頼と協力を胸にひめ
・ ・信頼し合い、協力し合って生きよう。
・ 明日への扉は、信頼と協力で開ける。
・ ・信頼し協力しあう仲間に
・ 友達の信頼、みんなで協力
・ ・信頼と協力を大切に
・ 信頼と協力は楽しい学校生活をつくる。
・ ・信頼と協力、いい学年作りの第一歩
・ 信頼と協力の心を持とう。
・ ・苦しい時こそ信頼し、つらいときこそ協力しあういい学校
・ ・ 信頼感は友達から協力は自分から  
・ 今必要なのは信頼と協力!
・ ・信頼できる仲間、協力し合える仲間に

 これらの中から支持が多かったのが網点で示した3つであり、特に「大事なのは信頼と協力」には過半数の22人の支持が集まった。でも何かもう少し改良が可能のように感じられたので、3次案を生かし次のような案を学年の先生方の協力も得てつくりだして付け加え、最終候補案とすることにした。
学年スローガン(第4次案最終候補案・4時)
1 大事なのは信頼と協力
2 何事にも信頼と協力
3 どんなことにも信頼と協力
4 互いに信頼みんなで協力
5 信頼と協力でガッツだぜ!
6 大切にしよう、信頼と協力
7 未来をつくる信頼と協力
8 信頼と協力で明日の扉を開こう
9 合い言葉は信頼と協力
10 いつも心に信頼と協力
11 必要なのは信頼と協力
12 なんでも協力互いに信頼
13 広げよう信頼と協力の輪
印刷配布し、じっくりと読んで判断できるように時間を取り、一人2票持ちで挙手で意志を表示させた。すると、4の「互いに信頼みんなで協力」が圧倒的に一挙に27票を一度
目に獲得した。長い協議の道程のあと、みんなが納得できる意志決定を見たわけである。
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⑸ 考察
 生徒の感想の一部を次に紹介する。
・自分たちにぴったり。決めるのに時間がかかったが、その分いいメッセージができた。・卒業まで2年あるけれど、その間にこのメッセージを実現できるようにしたい。
・何回もみんなで考えて決めただけあって、とってもいいメッセージになったと思う。
・みんなのいい目標になると思う。私もこれから達成できるようにがんばりたい。
・いいメッセージだと思う。けっこう気に入っている。

 生徒の自己決定を尊重し、思いや願いの適切な表現を支援することを心がけ、話し合い時間を十分にとった。そのことで、生徒自身の、生徒自身による、生徒のためのスローガンがつくりだされたと考える。

4 第3段階
  ⑴ 題材 「大きな文字を書く」
  ⑵ 目標 「学年メッセージを大きく拡大してレタリングし、視覚効果を考えて、美し       く彩色する」
  ⑶ 題材設定の理由
   この段階では、大きなサイズにレタリングするという造形的な課題がはっきりとし  ている。そこで、レタリング練習をし、その練習を生かして大きな文字を書く、というプロセスを最初設定したが、時間的な制約もあり、サイン業のプロの方がやられて  いると同じOHPを利用する方法をとることにした。書体はゴシック体とし、彩色は一学期の色彩学習を生かしてグラデーションということでまとまった。また、メッセージの文字が11個なので学年43名を11のグループに分けて担当することにした。

⑷課題構成 (3時)
 課題1 TPシートにレタリング辞典からメッセージの文字を焼き付け、OHPで60センチ四方に拡大し文字の型紙として書き写す。
 課題2 拡大された文字を型紙としてはさみで切る。
 課題3 大画用紙に型紙を当てて文字の形を写し書きする。
 課題4 メッセージの11個の文字数にグラデーションの配色をし、グループで協力し彩色する。(完成)
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⑸ 考察
 文字数と10M画用紙の大きさから、一つ一つの文字は60センチ四方のサイズが最適と計算さた。大文字のレタリングは文字の手本に方眼を引いて座標変換の方法で拡大させると手間取ると予想されたので、簡便なOHP利用の方法を取ったわけである。しかし11回もグループごとに転写作業をしなければならなく、1時間以上もかかった。その間、拡大作業外の生徒はレタリング練習に取り組ませた。
 課題1~3で2時間かかった。課題4で1時間。課題4は1時間で楽にできた。彩色作業が終わって、学年の共同作品の完成を見て、記念写真を撮影した。その時の生徒の明るい表情や、自然なしぐさから出たVサインのポーズなどが、一つの達成の喜びとして見て取れて安堵した次第である。

5 おわりに
 生徒の感想を紹介する。今回の学習を通して、指導の目標はほぼ達成されたと考える。

・時間がかかったけど、すばらしい作品ができてほっとした。
・いろいろ大変だったけど、たのしかった。
・たのしく、みんな協力してできたのでよかったです。
・少しふざけていた人もいたようだけど、楽しくつくることができてよかった。これからいつもこのスローガンを心に留めておきたいと思う。
・みんなで協力してできた。最後まで楽しんでやれた。学年全員で一つのものがつくれてみんなが一つのものを完成させるためにいろいろと協力できて、協力することがとても大切だと思った。
・とにかくA、Bみんなで協力できたことがなによりだと思う。みんなで協力して一つの大きな作品を完成させたということがとてもよかった。
・やることすべてが初めての経験だったので、出来上がりが少し心配だったけど、よくできたと思います。木版画をやめて私たちの意見をとりいれてくれた先生に感謝したいです。ありがとうございます。
・レタリングは難しかったけれど、色ぬりが面白かったです。大きい紙にかくのもいいなと思った。
・今までと違う美術ということでおもうぞんぶん楽しめたと思う。ストレスかいしょうにもなったし、学年みんなで一つの作品ができたのでまんぞくした。みんなの心が一つになったみたいだった。
・あんな大きな紙に絵をかくのははじめてで、ドキドキしたけど自分たちの個性がでていていいと思う。
・やっぱりみんなで協力しあってできた作品だから、できたときうれしかった。
・みんなが一つになってやったと思う。ストレスかいしょうにもなったし、すごくすごく楽しかた。
・みんなで協力してきちんとできたと思います。みんなの思いが作品によくあらわれていると思う。
・こんかいはみんなで協力できたと思う。美術の時間だけでなく、ほかの時間にも学年メッセージ「互いに信頼みんなで協力」したいです。

 男子の生徒の感想は短いことばが多く、ふざけて取り組んだことを反省することばも多くみられたが、取り組みの実態は本当に真剣に取り組んでくれていた。女子は、活動の過程で感じたこと素直に感動こめて書き記してくれたように思う。
 本題材を終了して、体育館に展示を終え、学校生活に生きるスローガンとして学年を越えて全校生徒に影響を及ぼしてくれることを願うのみであった。また、今後2年以上の継続掲示とその活用について全職員にも理解を求めた次第である。
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 本題材は、生徒の表現活動の実際や感想のことばより推察して、かなり高いレベルで一人一人にさわやかな思いを残せたと思う。新学力観にふさわしい生徒の思いや願いの実現のある指導の工夫としてはほぼ成功であったと評価している。
 筆者の本音としては「新しい学力観」ということばを、まだ豊かな指導経験をもって使うことができない。本年度、2年ぶりに美術を担当し、本題材などを通して、新しい学力観をベースにした指導法を工夫してみて得られたものは大きい。
 生徒のよさや可能性を信じ、その思いや願いを実現させることは、生徒の第一次的な反応や実態をそのまま認めることではない。生徒を信じて、より高いレベルを求めて働きかける知的な格闘が大切である。今回は、学年スローガンを決める過程で生徒の主体的な判断をどう引き出すかが一つの勝負であった。また、モダンテクニックの造形性の奥深さを確かにとらえた自由さのある追究過程が生徒
の感性の啓発に有効であった。
 今回の学習でモダンテクニックを楽しんでいる場面が、ほんの1分くらいではあるが全国放映された。その後の展開で確かな共同作品に結実させることができ、そのことの責任も果たせたのではないかと思っている。
今後も、生徒の感性、興味・関心を惹き付ける魅力ある題材開発や指導の工夫を心がけその思いや願いに応えていきたい。
(M中 平成7年度研究紀要所収)


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